百ます計算 … メリット デメリット 上手く使う方法

2024年2月18日

百ます計算

「百ます計算」は、計算力を上げるためのトレーニングとして 小学校で取り組んでいるところもあります。「10マス×10マス」の中に計算結果を書き入れていくものですが、最近では分数を混ぜるなど バリエーションが増え進化しているようです。長年の学習指導の経験からよいところやそうでないところ、また、上手く使う方法などを紹介していきます。

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Contents

「 百ます計算 」とは?

まず、百ます計算とは、「岸本裕史さんが小学校の授業で使い始めたもの」です。その後、岸本裕史さんを師と仰ぐ隂山英男さんによって、さらに広められました。そして、今となっては、百ます計算の認知度は 非常に高いものになっていますね。

なお、隂山英男さんは多数の著書がありご存じの方は多いと思いますが、岸本裕史さんの『見える学力、見えない学力』は隠れたロングセラーです。

見える学力、見えない学力(国民文庫―現代の教養)/岸本裕史

百ます計算とはどのようなものか?

百ます計算とは、「10×10の100ます」に計算結果を書き込むものです。ますの左端と上端には数字が書かれており、左と上の数字の計算をしていきますが、 計算は足し算のほか、引き算、掛け算、割り算もあります。最初に書かれている数字が「分数」や「文字」なら、高学年や中学生でもやりごたえのある問題になりますね。

また、時間を測って時間を短縮できるよう「毎日取り組む」のが一般的です。とくに、隂山英男さんは「徹底的に反復すること」を推奨しておられます。

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「百ます計算」のメリット

たいていの物事には、「メリット」と「デメリット」の両面あるものです。まずは、「百ます計算のメリット」について見ていきましょう。

「計算力」

計算練習なので、もちろん「計算力」がつきます。

また、学年が上がるごとに計算は難しくなりますが、3桁や4桁の計算であっても基本は1,2桁の計算の組み合わせです。ですから、基本の計算が瞬時にできると、以降の学年でも役に立ちます。

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「集中力」

時間を測って毎日取り組むので、「昨日の自分より速く」ということで 集中して取り組めるため、「集中力」を養えるだけでなく 集中する習慣もつきます。逆にダラダラしてしまうと、ダラダラしながら取り組む習慣がついてしまうので、「集中する習慣」は大切ですね。

ちなみに、陰山英男さんは話すスピードが速く、小学校の先生とは思えないほどです。慣れていない小学生は ついていけないのではないかと心配になりますが、百ます計算で「集中力」をつけているせいか 指導されている児童は聞き取れているのですね。

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「百ます計算」のデメリット

「メリット」があれば「デメリット」もあります。誰もが必ずそうなるとは限りませんし、複合的な要素もありますが、気になる点を確認しておきましょう。

「思考力」が育たない

百ます計算は非常にテンポよくすすめていくので、逆に「テンポよくすすまない文章題などについては 気がすすまない」ということがでてきます。テンポが上がる分だけ、テンポが悪いものを余計にじれったく感じる人もいます。

影響が大きい場合だと、問題が複雑そうだと見ると「考える前から目についた数字を適当に計算」して終わらせるという人も出てきます。問題が複雑になってもいいようにと「計算力」を上げたのに、複雑そうな問題を避けるようでは本末転倒ですね。思考する前に避けることで、「思考力」が育たないことになりかねません。

しかし、もしかしたら 親の影響を受けて「思考を避けて」いる可能性もあります。毎日顔を合わせる親が、考えることを避けていたり、何かにつけて面倒がっていたりするのを見ていると 影響を受けるかもしれません。

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「百ます計算」を上手く使うには

百ます計算には、「メリット」も「デメリット」もあることがわかりました。しかし、状況や運用次第では、上手く利用できる方法もあるので考えてみましょう。

百ます計算

計算力をつけながら「文章題から逃げない」ようにしたい

それでは、「デメリット」を避けて「メリット」だけ受けることはできるのでしょうか。

期間を限定する

年単位で 百ます計算を毎日取り組んでいる人も多いようですが、計算がとくに重要な時期に限定して取り組むのもいいですね。例えば、学校での履修単元が「計算」や「面積」「体積」など計算が多くなる少し前の時期に取り組むといいでしょう。

バランスを調整する

百ます計算のプリント以外は何もしないなら、ちょっと難しいかもしれません。しかし、「思考力」を鍛える学習をセットにするなど、百ます計算ばかりにならないようにする工夫があれば「デメリット」の影響はあまり受けなくなりますね。

「百ます計算」まとめ

これまで、百ます計算によって 力をつけた人は たくさんおられることと思います。しかし、百ます計算のほかに何らかの学習をやっていたり、「複合的な要素」も考えられます。食事でも「ビタミンCを摂るといい」といったところで、ビタミンCだけで健康に成長していくわけではありません。やはり、バランスが大切ですね。

また、学問は暗唱して身につけたり、「習うより慣れよ」という考え方もあります。以前は、そうやって身につけながら、それぞれが考えるということをやってきたのだと思います。しかし、今はスマホなどもあるせいで、調べればすぐに分かるし、今知らなくてもいつでも知ることができます。そんな時代ですから、子供たちは考えることはしなくなってきているのでしょう。

個人差はありますが、本当に子供たちが日常から考えなくなったのなら、百ます計算との組み合わせはあまりよくありません。そういう意味では、百ます計算は昔に比べてフィットしなくなってきているとも言えます。

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