岡寺 … 1300年前に飛鳥に創建 日本初の厄除け霊場

2024年2月1日

岡寺

奈良県明日香村にある「岡寺(おかでら)」は、およそ1300年前に天智天皇の勅願によって義淵僧正が建立したと伝えられています。悪龍を封じた伝説から「龍蓋寺(りゅうがいじ)」とも呼ばれ「日本最初の厄除け霊場」として知られています。また、「西国三十三所第七番」でもあり多くの参拝者で賑わいます。

お名前.com

Contents

「岡寺」について

まず、所在地について、岡寺は奈良県高市郡明日香村の岡山の中腹にあります。(岡寺HP

岡寺 手水舎
「 手水舎( ちょうずや ) 」

「岡寺」とは

岡寺の山号 院号 寺名は「東光山 真珠院 龍蓋寺」です。しかし、古来より地名にちなんだ「岡寺」の名で親しまれており、宗教法人名は「岡寺」となっています。

もともとは法相宗(ほっそうしゅう)である「興福寺」の末寺でした。その後、江戸時代には「長谷寺」住職が中興して以来、「真言宗豊山派」となり今日に至ります。なお、ご本尊は本堂に安置されている塑像「如意輪観音坐像」であり、銅像「東大寺盧遮那仏」、木像「十一面観音菩薩立」とともに知られています。

厄除け霊場

すでに鎌倉時代には岡寺の『やくよけ信仰』が広まっていたと言われています。また、鎌倉時代初期に成立した歴史物語『水鏡(みずかがみ)』には「つつしむべき年にて、すぎにしきさらぎの初午の日、龍蓋寺へまうで侍り。」とあり、厄年の二月の初午の日に龍蓋寺(岡寺)に行くとよいということが書かれています。

さらに、飛鳥の地を荒らして民を苦しめていた悪龍を 池に封じ込めて蓋をしたという伝説があります。龍に蓋をしたことから「龍蓋寺」と名付けられ、そして退治したのが 創建者である義淵僧正だったのです。

西国三十三所

近畿と岐阜にある 33ヶ所の観音信仰の霊場を「西国三十三所」と言い、岡寺はその第七番になっています。観世音菩薩が衆生を救うときに 33のお姿に変化するという信仰に由来しており、西国三十三所の観音菩薩を巡礼することで 極楽往生できると伝えられているものです。

ロリポップ!

「岡寺」の起こり

岡寺は、およそ1300年前に天智天皇の勅願により義淵(ぎえん)僧正が建立したと伝わります。なお、場所は天武天皇の皇子にあたる草壁皇子(くさかべのみこ)の住まいとなっていた「岡宮」の跡地であると言われています。

義淵僧正

日本における法相宗の祖と言われる義淵僧正は、703年に日本で初めて『僧正』の位につきました。その後、日本仏教界に尽くし、岡寺(龍蓋寺)、龍門寺などの5ヶ龍寺を創建したほか、次のような多くの優秀な弟子を育てます。

・良辨(りょうべん):東大寺を開山した華厳宗の僧。
・玄昉(げんぼう) :遣唐使に随行した法相宗の僧。
・行基(ぎょうき) :東大寺創建や社会事業に力を尽くし日本初の大僧正に。

さらに、このほか、隆尊(りゅうそん)、道慈(どうじ)、道鏡(どうきょう)なども 義淵僧正の門下であったということです。

Xserverドメイン

「岡寺」の境内

それでは、ここからは岡寺の文化財などの 見どころ をチェックしていきましょう。

仁王門 / 重要文化財

1612年に建立された「仁王門」は、重要文化財に指定されています。なお、正面両脇に「仁王像」、以下写真矢印部の四隅には「阿獅子」「吽獅子」「龍」「虎」があります。

仁王門
「 仁王門 」

本堂

次に「本堂」、1805年に建立されました。なお、像高4.85m にもおよぶ塑像「如意輪観音坐像」が安置されています。

岡寺 本堂
「 本堂 」

開山堂

「開山堂」は1797年に多武峰妙楽寺(現 談山神社 たんざんじんじゃ)に建立、1871年に移築されました。また、場所は本堂の西隣、「阿弥陀三尊」を安置しています。

岡寺 開山堂
「 開山堂 」

鐘楼堂

1808年と刻まれた「梵鐘(ぼんしょう)」は、「厄除けの鐘」でもあり「平和の鐘」でもあります。なお、梵鐘にある7つの小さい穴は、戦時中に材質を調べるために空けられたものですが、供出は免れたということです。

岡寺鐘楼堂
「 鐘楼堂 」

三重宝塔

古くから建っていた「三重宝塔」は、1472年に倒壊してしまいました。しかし、長い時を経て、1986年に514年ぶりに再建されています。

岡寺三重宝塔
「 三重宝塔 」

大師堂

最後に、弘法大師をご本尊とする「大師堂」です。なお、ここには大師さまの幼少期の「稚児大師像(ちごたいしぞう)」と四国の地で修行していた頃の「修行大師像」がおられます。

大師堂
「 大師堂 」

「 岡寺 」の案内

それでは、入山案内やアクセスについて見ていきましょう。

入山案内

入山時間

8:30 – 17:00(12月〜2月は、8:30 – 16:30)

*なお、本堂内陣の一般内拝は、4〜12月に限ります。

入山料

大人 400円、高校生 300円、中学生 200円、小学生以下 無料

御朱印

本堂奥の「納経所」でいただくことができます。2022年3月31日までは「西国三十三所草創1300年記念 西国奈良四ヶ寺 復刻御朱印」もあります。

アクセス

〒634-0111 奈良県高市郡明日香村岡806

公共交通機関で

近鉄南大阪線および橿原線 / 橿原神宮前駅からバス「岡寺前」下車 5-10分
近鉄吉野線 / 飛鳥駅からバス「岡寺前」下車 5-10分

*近鉄吉野線 / 岡寺駅からはバスもタクシーもなく、徒歩1時間弱を要します。

車で

大阪方面から :南阪奈道路 / 葛城ICから 約20分
京都方面から :京奈和道路 / 橿原北ICから 約25分
和歌山方面から:京奈和道路 / 御所ICから 約15分
名古屋方面から:名阪国道 / 針ICから 約40分

*「駐車場」はすぐそばに数台分あります。なお、途中は道が非常に狭いので注意が必要。

地図

まっぷる奈良’22(マップルマガジン 関西 12)

関連リンク

最後に、その他の西国三十三所や近隣の情報の紹介です。

西国三十三所関連

西国三十三所 … 近畿を中心にした 33ヶ所の観音信仰の霊場
・ 第8番 長谷寺(はせでら) … 花の御寺、 西国三十三所観音霊場
・ 第9番 興福寺 … 世界遺産であり多数の国宝をもつ 法相宗の大本山
・ 第11番 醍醐寺 … 豊臣秀吉「醍醐の花見」の地で知られる世界遺産

近隣のお出かけ情報

滋賀の お出かけ情報 … 地域別まとめ
京都の お出かけ情報 … 地域別まとめ
大阪の お出かけ情報 … 地域別まとめ
奈良の お出かけ情報 … 地域別まとめ