教科書改訂 × 働き方改革 … 教えきらない中学教科書に

2021年10月6日

教科書改訂

2020年度には小学校の教科書が、2021年度には中学校の「 教科書改訂 」があります。 とくに中学英語の教科書が難しくなりますが、単純に難しくてついていけない生徒が増えるわけではなさそうです。 働き方改革と相まって「 教えきらない教育 」が定着する可能性があります。

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「 教科書改訂 」で心配なこと

「教科書改訂」と「 働き方改革 」が重なるタイミングで、教科書の内容について十分な指導が行われるのかどうか が心配されます。 しかし、残念ながら、その答えは「 不可能 」です。 この「 心配なこと 」について、中学生を対象に詳しく述べていきます。

なお、2021年で大幅に改訂されるのは「 英語 」なので、英語を中心に話をすすめます。 その他の科目はどうかと言うと、すでに「 心配なこと 」が始まっている状況です。

教科書改訂

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「 教科書改訂 」

教科書改訂の大まかな流れは、「 ゆとり教育 」が顕著になった 2002 – 2010年に最も内容が浅くなり、その後「 脱ゆとり 」として教科書内容が戻ってくるというものです。

教科書改訂

これまでの「 教科書改訂 」の流れ

1980年から

段階的に学習内容が増加し高度化する中、学ぶ側の立場に立って内容を精査し効率化した「 ゆとり教育 」が始まります。 「 授業時間数減少 」に転じました。

1992年から

総授業時数に変化はないものの、科目間の授業時数に幅をもたせることとなります。 小学校低学年では、理科と社会の代わりに「 生活科 」が誕生しました。

2002年から

「 ゆとり教育 」のピーク を迎え、学校「 完全週5日制 」となり 授業時数は大幅に削減されます。 また、2003年の改正では、一定レベル以上のことは指導しないという「 歯止め規定 」が撤廃されました。これにより、学習指導要領は過不足なく学習するという前提から、最低限教えるものへと変わり「 発展的内容も指導可能 」になりました。

2011年から

「 脱ゆとり教育 」に舵を切り、「 ゆとり教育 」で高校に後ろ倒しにした内容のほとんどが 一気に中学校に戻ってきました。 授業時間数が2940時間 → 3045時間と「 約30年ぶりの時間増 」となり、「 教科書のページ数は 1.3 – 1.4倍 」に。

2021年から

大きな変更がある科目は「 英語 」。 小学校で科目化されたことで、学習内容が前倒しされます。 主な文法内容としては、「 原形不定詞 」「 現在完了進行形 」「 仮定法 」が高校から降りてきます。 また、中学までに身につけるべき英単語は、これまでの 1200語程度から 2300語程度にほぼ倍増します。( のちほど詳しく記載 )

数字で見る「 教科書改訂 」の流れ

数字から読み取れることは、ある見方の一面だけではありますが、とくに参考になるものを紹介します。

中学3年間の授業時間数の推移

2021年で大幅に改訂されるのは「 英語 」ですが、すでに他の科目は 前回までに大幅な改訂がありました。 そういうこともあり、2011 → 2021では時間数に変更はありません。

1961年 から 3360時間
1971年 から 3535時間
1980年 から 3150時間
1992年 から 3150時間
2002年 から 2940時間
2011年 から 3045時間
2021年 から 3045時間

中学校までの履修英単語数の目安の変化

2011年の「 脱ゆとり 」から、教科書掲載単語数が増えています。 小学校の英語が教科化されたことから、小学校教科書に掲載されている「 600 – 700語 」は身についたものとなります。

そのため、中学までに履修する語数の目安は、2021年の中学教科書に掲載される「 1600 – 1800語 」と合わせて「 2200 – 2500語 」です。 なお、東京書籍の教科書では、小学校 630語、中学校 1700語、合計で 2300語以上を身につける構成となっています。

2002年 から 900語程度( 中学教科書の掲載単語数 )
2011年 から 1200語程度( 中学教科書の掲載単語数 )
2021年 から 2300語程度( 中学教科書 + 小学教科書の語数 )

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働き方改革 と 教科書改定

教科書改訂

これまでの流れと現状

教員の残業時間は増加の一途をたどっており、これまでも「 働き方改革 」が叫ばれてきました。 しかし、ここ数年で本格的に「 働き方改革 」をすすめており、現時点でも確実に変化が見られます。

具体的には、「 タイムカードなどで時間管理 」をしたり、「 ノー部活デーの設定 」、行事で準備が必要な日は「 教員が早出するのではなく 生徒の登校を遅らせる 」など、学校や地域により さまざまな改革をすすめています。 高校では、教員の負担軽減のために「 成績表の所見欄をなくした 」ところもありますね。

懸案事項

さまざまな懸案事項がある中で、議論や改革はすすんでいます。 例えば、下記のようなことについて、いつどのように解決されるのかは注目されるところです。

・生徒への「 学習指導 」や「 進路指導 」などは十分にできるのか
・教員と「 部活の関わり 」はどうなっていくのか
・教員の残業時間は減っても「 持ち帰りの仕事が増える 」だけにならないか

ただ、一方で教員の精神面も心配があります。 やらざるを得ないことだけをやって、やったほうがいいことをする時間がなくなってしまうのであれば、教員のあり方そのものにも関わってくる問題です。 「 なんのために教員をしているのか … 」と悩む人が増えることがあるかもしれません。

エ ル セ ー ヌ

「 教科書改訂 × 働き方改革 」でどうなるか

学習内容のボリュームが増える中で、時間的な制約が厳しくなるとどうなるのかについて、起こりつつあること、起こるであろうことを考えてみます。

何が起こるか( 一部すでに起こっている )

全て教えきることは難しい

学習内容の量も質も上がる中で、「 教科書のすべてを教えきるのは困難 」です。 すでに、学力レベルが高くない中学校では、難易度の高い内容は飛ばしたり サッと流すだけにしているところもあります。

定期テストの難易度はどうなるか

教科書の難易度が上がると 定期テスト問題も難しくなると思われがちですが、難易度は変わらないか易しくなる と考えられます。

教員が働き方改革で時間を費やすことができない以上、生徒がハードルを超えられるようにサポートするのではなく、「 ハードルを下げる 」しかなさそうです。 すでに、テスト問題が易しくなっている中学校が見られます。

高校入試の難易度はどうなるのか

脱ゆとり以来、高校入試の難易度はどの科目も難易度は上がっており、一定の水準に達しています。 公立高校の場合は、学力に幅のある中学生を対象とするので、これ以上難しくすると進学校のための入試問題になってしまいます。

わかりやすいところでいうと、国語での漢字について、高校終了程度とされる「 漢検2級レベルの漢字 」は公立の一般的な入試ですでに出題されています。 高校在学程度とされる 準2級レベルの出題は、非常に多くなっています。

ただ、英語に関しては、教科書の難易度が上がることと 長文問題中心の出題構成に変わる流れであることから、変化の大きい科目になりそうです。

どう対処すべきか

学校の評価が高くても自学は必要

絶対評価が主流になり、通知表の「 3 」は すでに真ん中ではなくなりました。 「 1 」や「 2 」の人よりも「 4 」や「 5 」の人のほうが多いため、通知表の平均は「 3.5 」程度だと考えておくべきです。 これはさらに加速するものと考えられるので、進学校を目指すなら「 4 」や「 5 」の成績でも十分だと考えないほうがよさそうです。

模擬テストなどで、実践的な問題に触れたり、客観的な評価を知ることは これまで以上に重要になります。 その結果も踏まえて、自分なりの学習をすすめていく必要がありますね。

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