仮親 … 江戸時代の仮親制度から学ぶべきポイント

2024年2月28日

「核家族化」「ワンオペ育児」「現代の人間関係」など表面的には人付き合いがあっても、現代は実質的には孤立している時代かもしれませんね。ならば、江戸の「仮親」制度は、幼子の子育てから反抗期の子育てまでの何かヒントにはならないのでしょうか?それでは、「仮親」について詳しく見ていきましょう。

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Contents

「仮親」とは?

「かつては多くの大人が、一人の子を仮の(擬似的な)親子関係を結んでいた。」というのは、江戸文化研究者である田中優子さんの言葉。朝日新聞の「折々のことば」に掲載されていたものです。現代にも参考になることはありそうですね。

「仮親」 の意味

調べると「かりに親の役をする人」「養父母」などと書かれていますが、親がいないために代わって親の役をする人のことではありません。親がいながらも、なんらかの接点によって「○○親」と言われる人たちのことですね。

「仮親」の例

帯   親 … 妊娠5ヶ月の祝いに「帯」を巻いてくれる
取り上げ親 … へその緒を切る
行き合い親 … 赤ちゃんを抱っこして外に出た時、最初に会った人
乳   母 … 母親以外に乳を与える
拾 い 親 … 丈夫な子供のいる家の前に 形式的に捨てられた子を拾って預かる
名 付 け 親 … 名前をつける

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現代の問題点と「仮親」は参考にならないかどうか

江戸時代にはさまざまあった仮親ですが、そのままそっくり現代に当てはまるかというと、そういうわけにもいきません。それでは、仮親について詳しく見ていきましょう。

現代の問題点

世の中が開けてきていたり情報化も進んでいるので、子供に対する親の影響は小さくなっているようにも思えます。ところがそれ以上に、核家族化や人付き合いの表面化によって、実質的な「親と子の影響は強くなっている」とも考えられますよね。

また、日本の「無宗教化」も影響しています。宗教の影響力が強ければ、一定のマナーやモラルは親の言葉からではなく宗教により身につくこともあるかもしれません。さらに、こういった面からも親と子の直接的な影響力は大きくなっていると言えます。

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「仮親」の知恵

実の親と子は、もちろん両親とその子 1人です。しかし、1日中、1年中、同じメンバーで同じ役割では、摩擦が出やすくなります。そうすると、「仮親」が有効なのでしょうね。

例えば、「帯親」のおばさんが元気よく挨拶する人なら、しっかり挨拶することを心がけるようになるかもしれません。また、名付け親のおじさんにバッタリ出会って、近況を尋ねられるかもしれません。

こういう方々が地域にいれば、いや、遠くても大丈夫ですね。また、今どきは電話もメールもありますから、遠くても成長を見守ってくれるおじさんやおばさんに暖かい声をかけてもらえるといいですね。

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我が家の場合

我が家では、子供たちの成長を期待して見てくれている「親類」がいます。せっかく期待してくれているので、この「親類」はこういうことに注目しているなど、それぞれの「親類」にテーマをつなぎ合わせていくのもいいかもしれませんね。

また、部分的には「保育所の先生」や「習い事の先生」も仮親の役割を果たしてくれているように思います。リアルで出会う「心ある大人」は貴重な存在ですね。

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「江戸時代」の子育て書

現在は、戦後70年以上を経過し安定した時代です。歴史上でいうと、最近の安定した時代は250年以上も幕府が続いた江戸時代ですよね。もしかしたら、「令和の時代」は「江戸時代」に学べることも多いかもしれません。

江戸の子育て十カ条 / 小泉吉永著

仮親 江戸の子育て十カ条
「 江戸の子育て十カ条 」

「仮親」とは少し違いますが「江戸の子育て十カ条 ― 善悪は四歳から教えなさい」では勘当されそうになった子供に「まあまあ私の顔に免じて …」という近所の人の存在の重要性を示しています。やはり、昔から身内だけでなく他人の存在は教育に効果があったようですね。

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和俗童子訓 / 貝原益軒著

仮親 養生訓・和俗童子訓
「 養生訓 ・ 和俗童子訓 」

それでは、次は貝原益軒の「養生訓・和俗童子訓(岩波文庫)」です。とにかく、項目は細かく今でも生きる教えはたくさんあります。また、「江戸時代の教育」に興味を持たれた方がおられましたら、じっくり読んでみるのもいいかもしれません。なお、各項目は短く読みやすいですよ。

【 貝原益軒 】
1630年、筑前国福岡藩士のもとに生まれる。
18歳で福岡藩に仕えたのち、浪人となり藩医として帰藩。 さらに 京都で本草学や朱子学などを学ぶ。 長く藩に尽くし役を退いたあとに、『 養生訓 』など数々の著書を遺した。 その著書などには次のような名言がある。
「 心を平らにし、気を和やかにす。 これ身を養い、徳を養うの工夫。 」
「 知って行わざるは、知らざるに同じ。 」
「 古人、わざわいは口より出でて、病は口より入ると言えり。 口の出し入れ常に慎むべし。 」
「 自ら楽しみ、人を楽しませてこそ、人として生まれた甲斐がある。 」
「 人の礼法あるは水の堤防あるがごとし。 水に堤防あれば反乱の害なく、人に礼法あれば悪事生ぜず。 」 など

江戸の教育力(ちくま新書)

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