敬語 … 尊敬語と謙譲語、スッキリ見分ける方法は?

2024年1月2日

国文法における「敬語」には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があります。しかし、これらの判別に不安のある小中学生は多いようです。「尊敬語」や「謙譲語」は、そのものの説明をそのまま受け取るよりも「見分けるポイント」を意識したほうがわかりやすくなっていますよ。

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「敬語」について

例えば「英語」の場合だと、独特の敬語表現はほとんどなく、ざっくり言うと遠回しな表現をすることで相手を尊重していることを表します。しかし、日本語には、古来から「独特の敬語表現」があります。ここでは、「小学生」や「中学生」が学ぶ日本語の敬語表現について見ていきましょう。

「敬語」の概要

まず、敬語とは「立場や気持ちのあり方を表現するもの」です。学校教育の場面では、「尊敬語(そんけいご)」「謙譲語(けんじょうご)」「丁寧語(ていねいご)」の3つに分けて理解を深めていきます。

現代における敬語の使用の場面について、「立場のあり方」と「気持ちのあり方」に分けてみていきましょう。とくに、「気持ちのあり方」では、「敬い」や「へりくだり」の意識があらわれることがあります。

◎ 立場のあり方:店員と客、上司と部下など

◎ 気持ちのあり方:年齢差、経験差など

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「敬語の指針」

古代から使われているとされる「敬語」ですが、平成19年2月に文化庁の文化審議会答申「敬語の指針」が発表されています。

第1 基本的な認識

敬語は,古代から現代に至る日本語の歴史の中で,一貫して重要な役割を担い続けている。その役割とは,人が言葉を用いて自らの意思や感情を人に伝える際に,単にその内容を表現するのではなく,相手や周囲の人と,自らとの人間関係・社会関係についての気持ちの在り方を表現するというものである。

「敬語の指針」 第1章 敬語についての考え方|文化審議会答申

また、この「敬語の指針」では、敬語を「尊敬語」「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ」「丁寧語」「美化語」の5つに分類していますが、学校教育での分類は従来の「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つで問題ありません。

敬語

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「 敬語 」の判別

敬語は、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類です。とくに、「尊敬語」と「謙譲語」の判別を苦手とする人が多いのですが、「見分けるポイント」を意識すると判別しやすくなります。

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「尊敬語」と「謙譲語」とは

それぞの正しい説明

中学校の教科書では、「尊敬語」と「謙譲語」について、次のように説明がされています。当然教科書の説明ですから、間違いはなく簡潔に説明がなされています。

尊敬語…ある人の動作や、ある人に関係のある人や物や事柄を高めることで、その人に対する敬意を示す表現。

謙譲語…自分や自分近い人の動作や、自分に関係のある人や物や事柄をへりくだって言う(聞く)ことで、相手に対する敬意を示す表現。

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これをさらに短く表現すると、次のとおりです。
尊敬語は「相手側の言動を高めて敬意を示す」
謙譲語は「自分側の言動をへりくだって敬意を示す」

混乱の要因

上記のような正しく簡潔な説明がありながら、判別を苦手とする人が多いのは「高める」や「へりくだる」という表現が気になるからです。

尊敬語の「相手側を 高める」、謙譲語の「自分側が へりくだる」の意味がしっくりこないので、どうも尊敬語も謙譲語もモヤッとして理解した感じにならないのではないでしょうか。

しかし、そもそも「高める」「へりくだる」を気にすることはないのです。

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注目すべきポイントは

それでは、いよいよ注目すべきポイントについて見ていきましょう。やはり、どうしても「高める」と「へりくだる」が気になってしまうのですが、これらの言葉は補足であると考えて、尊敬語は「相手側」、謙譲語は「自分側」に注目します。

相手を高めるのか 自分がへりくだるのかで迷うのではなく、とにかく、相手側の言動なのか、自分側の言動なのかを区別できれば判別できるというわけです。

校長先生がいらっしゃる
× 校長先生を高めているのか、自分がへりくだるのか?と考える
○ 相手側の行動なら尊敬語、自分側の行動なら謙譲語と考える

→ 校長先生は相手側なので、「尊敬語」と判断できる

まず、「相手側の言動か」「自分側の言動か」を最優先に考えるといいですね。もちろん、特別な敬語表現は知っておく必要があります。そして、代表的なものは、次のとおりです。

特別な敬語表現の例

        尊敬語    謙譲語
行く・来る  いらっしゃる 参る ・ 伺う
いる     おいでになる おる
言う・話す  おっしゃる  申す ・ 申し上げる
見る     ご覧になる  拝見する
聞く            伺う ・ 承る
食べる・飲む 召しあがる  いただく ・ 頂戴する
もらう           いただく ・ 頂戴する
くれる    くださる   
やる・与える        差し上げる
する     なさる    いたす

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